使い方

まず大まかな仕組みとして、元のイラストは保護されたWebページに投稿し、Twitterにはサムネイルとして投稿するというものです.
  1. 作品をアップロード
  2. 投稿者はブラウザから作品をアップロードします.PCにもスマホにも対応しています.
  3. サムネイル作成
  4. トリミング画面が表示されるので、サムネイルにしたい部分を選択します.一番見せたい部分を選んでください.(縦横比は19.1:9で固定です)
  5. プロテクト処理実行
  6. 実行ボタンを押すと一連の処理が実行され、ツイート用のURLが生成されます. 元のデータには強力な保護をかけていますが、サムネイル画像にはどうしても保護をかけられませんので、右下にウォーターマークを挿入しています.
  7. ツイート
  8. 生成されたURLを貼ってツイートすると、Twitter上では先ほど作成したサムネイルが表示され、クリックすると元の大きなイラストが瞬時に表示されます.
  9. 元のイラストの表示
  10. データは極めて強力に保護されていますが、表示画面は非常にシンプルで、速度もTwitter上で画像を見るのとほぼ変わりません.

保護の仕組みと内容

このアプリケーションでは、イラストの表示ページから無断で画像を取得・転載することは極めて困難です.少し専門的な話になりますが、どのように保護されているかを書いてみます. 実は、よく目を凝らすとメインのイラストにも透かしが入っているのがわかるかと思います.これは細かな透かしを高速で動かすことによって、「人の目には見えにくい透かし」を実現しているのです.ブラウン管テレビをカメラで撮ると帯のようなものが映り込むのと同じ原理で、この透かしも人の目には認識しにくいですがスクショなどで1フレームを撮影すると必ず文字として映り込みます.また、画像の下部には閲覧された日時と地域、IPアドレスが閲覧と同時に自動的に書き込まれます.これによって、万が一無断転載された場合においてもその証明や発信者開示請求がしやすくなるような仕組みになっています.

保護の強度について

AI・攻撃者視点でどの程度のことができるか、3段階に分類しています.

(注):「世の中に絶対はない」という究極なレベルの「絶対」ではありません

開発経緯と我々の思い

 AI学習や無断転載対策で作品に大きなウォーターマークを追加されたり、Twitter以外のプラットフォームに避難されたりする方が増えてきたように思います.しかしながら、自分の大切な作品にそのようなマークを追加し、本来居たい場所から避難せざるを得ないという状況は決して受け入れられるものではないと思います.そのような状況を変えたく、本アプリケーションを開発しました.コンセプトは「Twitterへの画像投稿となるべく近い方法で、それらを強力に保護すること」です.

 昨今の騒動により、Twitterに直接作品をアップロードするのを避け、外部サービスにアップロードしてからURLをポストするという方も増えたように思います.例えばXfolioではAIのクロールをブロックしたり、ダウンロードに登録が必要だったりと各種の対策が施されており、Twitterよりは安全に投稿できるようですが、直接の投稿に比べればまだ普及していないのが現状かと思います.その原因としては、やはり外部サービスであるため投稿や閲覧の手軽さが劣ってしまうことだと考えています.具体的には などのステップが増えることが考えられます.ほんのわずかな差ですが、Twitterで画像を1回タップするのに比べたらやはり面倒です.近頃のタイムパフォーマンスを重視する人間の心理として、絵を見るために一度Twitterを離れるということに対して無意識にも抵抗感を抱いてしまうことは否定できません.
 そこで、「もとのきれいなイラストを表示する・無断転載/AI学習を限りなく困難にする・Twitterとほぼ同じ速度で表示できる」の3つを兼ね備えた設計にしました.

※AI学習への対策について
このアプリケーションから直接AI学習に利用されるおそれはないと見ていますが、万が一無断でスクショされたりサムネイル画像から学習されたりする場合には非力です.イラストレーターの皆さんに対して言うのは釈迦に説法だとは思いますが、もし懸念があるようであれば別途GrazeやNightShadeなどのツールを用いることを推奨します.しかし、残念ながら現段階では、両者ともに集中学習に対してはほとんど効果がないことが実験で示されています.もちろん効果がないから使わなくていいというわけではなく、今の段階ではいかに元のデータを盗られないかという点に重きを置くほうが効果的ではないかということです.

 ここからはこのツールに込めた思いを少しばかりお話させていただきます.
冒頭で述べたことについて、「ウォーターマークを入れないようにお願いする人は決まって生成AIユーザーだから、その人たちの話は聞かなくていい」という言説も一部で見受けられます.確かにTwitterを見ている限り、この言説にはある程度正当性があると思います.しかし、我々は決してそうした意図でツールを提供しているのではないということを約束いたします.
私はアニメやゲーム、イラストなどに通じている身ではないのですが、Twitterでは多くの方々の素敵なイラストを日々拝見しています.その中に「AI学習・無断転載・自作発言禁止」などと大きく書き込まれたイラストがあると、作者の方がどんな思いでこれを入れたのかということを考えてしまい、心が痛むのです.本心から入れたくて入れている人など一人もいないはずです.私の胸中を正直に書くとすれば、「邪魔、汚いから入れないでほしい」のではなく、「こんなことをしなければならない世の中に絶望してしまうから、見たくない」といった具合です.そんななか、クリエイターのみなさんが少しでも安心して作品を発表できる場を作りたいという思いで開発しました.

 仕組みとしては割と誰でも思いつくようなツールですので、なぜ今までなかったのかと考えてみると、おそらく完全な防御は不可能だからだと思います.
ですが、完全な防御が不可能だから無意味というわけではないはずです。たとえ完全に防げなくても、ハードルを上げることや、不正利用を減らす仕組みを提供することには大きな価値があると考えています。これがきっかけでこのアプリケーションのさらなる改善に貢献してくださる技術者の方が現れ、現時点ではできなかったようなレベルの保護が可能になれば、それほど喜ばしいことはありません.逆に、攻撃に一定の技術を要するこのツールから無断でイラストが取得された事が判明したときは、新たに一人の人間が技術者としての倫理を放棄し、技術者たる資格を失ったことを意味するでしょう.